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薬物療法

糖尿病の状態が悪いと最初からお薬が始まりますが、一般的には食事療法・運動療法を行ってもなかなか血糖値が良くならない場合に薬物療法が開始されます。

患者さんの病状や合併症の有無などを診て、医師が患者さんに最適な薬を処方します。

1型糖尿病患者さん、高血糖のため意識障害のある方、妊娠している方、重症の感染症やケガのある方、手術前後、腎不全・肝不全を合併している患者さんはインスリン治療が必要です)

ここでは糖尿病治療に使われるお薬の種類と概要をご紹介します。

自分が使っているお薬の名前と作用・主な副作用について確認しておきましょう。

【内服薬】

現在日本において使用可能な飲み薬は、ビグアナイド薬、チアゾリジン薬、SGLT2阻害薬、DPP-4阻害薬、GLP-1受容体作動薬、グリニド薬、スルホニル尿素薬、αグルコシダーゼ阻害薬、イメグリミンの9種類です。

分類

種類

作用

主な副作用

インスリン抵抗性改善薬

ビグアナイド薬

肝臓での糖新生を抑える

筋肉での糖取り込みを増やす

下痢

ビタミンB12欠乏

乳酸アシドーシス

チアゾリジン薬

肝臓・筋肉でのインスリンの効きを良くする

浮腫み

骨折リスクの上昇

インスリン分泌促進薬

スルホニルウレア薬

インスリン分泌を強力に高める(長時間)

低血糖

グリニド

食後のインスリン分泌を高める(短時間)

低血糖

DPP-4阻害薬

血糖が高いときにインスリン分泌を促進する

インスリンと反対に働くグルカゴンの分泌を抑える

関節痛

急性膵炎の潜在的リスク

水疱性類天疱瘡

糖吸収(腸)阻害薬

αグルコシダーゼ阻害薬

小腸から糖が吸収されるのを遅らせる

下痢・おならの増加

腹部膨満感

糖排泄(腎臓)促進薬

SGLT2阻害薬

腎臓から糖が再吸収されるのを阻害し排泄する

脱水

低血圧

尿路・性器感染症

皮疹

ケトーシス

インスリン分泌促進薬

GLP-1受容体作動薬

小腸から分泌されるGLP-1というホルモンの働きにより血糖が高いときにインスリン分泌を増やす

食欲を抑える

肥満の改善

心臓や腎臓の保護作用など多面的な効果をもつ

嘔気・嘔吐

下痢・便秘

頭痛、めまい

インスリン分泌促進/糖新生抑制および糖取込み能改善

イメグリミン

ミトコンドリアに作用してインスリンの効きを良くし、さらにインスリン分泌も増やす

悪心・下痢

膀胱炎

食欲減退

糖尿病網膜症

代表的な薬の名前

ビグアナイド薬メトホルミン、メトグルコ

チアゾリジン薬ピオグリタゾン、アクトス

スルホニルウレア薬グリメピリド、アマリール、グリクラジド、グリミクロンなど

グリニド薬レパグリニド、シュアポスト、ミチグリニド、グルファストなど

DPP-4阻害薬グラクティブ、ジャヌビア、エクア、ネシーナ、トラゼンタ、テネリア、スイニー、オングリザ、ザファテック、マリゼブ

αグルコシダーゼ阻害薬ミグリトール、セイブル、ボグリボース、ベイスンなど

SGLT2阻害薬フォシーガ、カナグル、ジャディアンス、スーグラ、ルセフィ、デベルザ

GLP-1受容体作動薬リベルサス

イメグリミンツイミーグ

<注射薬>

現在日本において使用可能な注射薬は、インスリン製剤、GLP-1受容体作動薬、GIP/GLP-1受容体作動薬の3種類です。

種類

作用

主な副作用

GLP-1受容体作動薬

小腸から分泌されるGLP-1というホルモンの働きにより血糖が高いときにインスリン分泌を増やす

食欲を抑える

肥満の改善

心臓や腎臓の保護作用など多面的な効果をもつ

嘔気・嘔吐

下痢・便秘

頭痛、めまい

注射部位の皮膚反応(硬結や出血)

GIP/GLP-1受容体作動薬

小腸から分泌されるGIPGLP-1というホルモンの働きにより血糖が高いときにインスリン分泌を増やす

食欲を抑える

肥満の改善

嘔気・嘔吐

下痢・便秘

頭痛、めまい

注射部位の皮膚反応(硬結や出血)

胆のう炎、胆管炎

鼻咽頭炎

インスリン製剤

不足しているインスリン分泌を注射によって補う

低血糖

インスリンアレルギー

インスリン抗体の生成(血糖値が変動しやすくなる)

注射部位の皮膚反応(硬結や出血)

代表的な薬の名前

GLP-1受容体作動薬バイエッタ、ビクトーザ、リキスミア、トルリシティ、オゼンピック、ウゴービ(肥満症治療薬)

GIP/GLP-1受容体作動薬マンジャロ

インスリン製剤については別ページでご紹介します。

<参考文献>

日本糖尿病学会.糖尿病診療ガイドライン2024

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