インスリン製剤
インスリン製剤について
インスリン製剤は、不足しているインスリン分泌を注射によって補うことを目的に使用します。
現在使われているインスリン製剤は 7 種類です。
それぞれ作⽤の仕⽅が異なり、治療⽬的に応じて使い分けます。
2 種類以上のインスリン製剤を組み合わせて治療を⾏うことも多く、各製剤の特徴を理解しておく必要があります。
超速効型・速効型インスリン製剤
⾷事を摂ることで分泌されるインスリン(追加分泌)を 補います。
中間型・持効型溶解インスリン製剤
⾷事とは関係なく 1 ⽇中少しずつ分泌されるインス リン(基礎分泌)を補います。
混合型インスリン製剤・配合溶解インスリン製剤
上の 2 つを組み合わせたもので、1 回の 注射で追加分泌と基礎分泌の両⽅を補うことができます。
製品名
超速効型インスリン製剤:
ヒューマログ(リスプロ)注、ノボラピッド(アスパルト)注、 アピドラ(グルリジン)注
2020 年に注射後より短い時間で効果が出始める製剤が発売されました。ルムジェブとファ イスプという製品で、効果が出るまで 10 分以内、約 3-4 時間で効果がなくなります。その ため注射のタイミングは⾷直前 2 分以内あるいは⾷事開始後 20 分以内となっています。 速効型インスリン製剤:ヒューマリン R 注、ノボリン R 注
中間型インスリン製剤:
ヒューマリン N 注、ノボリン N 注
持効型溶解インスリン製剤:
ランタス注、インスリングラルギン注、ランタス XR 注、レベ ミル注、トレシーバ注
混合型インスリン製剤:
ヒューマログミックス 25 注、ヒューマログミックス 50 注、ノボラ ピッド 30 ミックス注、ノボラピッド 50 ミックス注、ノボリン 30R 注、ヒューマリン 3/7 注 配合溶解インスリン製剤:ライゾデグ配合注
厳密にはインスリン製剤ではありませんが、持効型溶解インスリン製剤と GLP-1 受容体作 動薬が混合された製品があります。
ゾルトファイ配合注…トレシーバ注+ビクトーザ注
ソリクア配合注…ランタス注+リキスミア注
GLP-1 受容体作動薬は近年⼤きな注⽬を浴びているお薬ですが、GLP-1 と同様⼩腸から分 泌されるホルモンの GIP との配合剤や GLP-1/GIP/グルカゴン 3 つのホルモンの配合剤など
次々と新しい製剤が開発されています。これらの注射製剤については別のページでご紹介 したいと思います。
インスリン製剤の注⼊デバイスは主にペン型とカートリッジ製剤の 2 つです。 ペン型は使い捨てタイプですが、カートリッジ製剤はペン型注⼊器に装填して使⽤します。 ペン型注⼊器はデジタル化が進んでおり、インスリン⽪下注量などを⾃動的に記録し糖尿病管理アプリと連携が可能な「スマートインスリンペン」(ノボペン 6、ノボペンエコープ ラス)があります。
従来のペン型インスリン製剤にスマートセンサーを装着することでデータ管理を⾏うこと も可能です(マリヤ)。
副作用
低血糖
インスリンアレルギー
インスリン抗体の生成(→血糖値が変動しやすくなる)
注射部位の皮膚反応(硬結や出血)