メニュー

妊娠とバセドウ病

妊娠におけるバセドウ病の母児への影響

甲状腺機能亢進状態での妊娠は、母体には心不全、妊娠中毒症、胎児には流早産、発育遅延など、母児いずれにもリスクを伴います。妊娠前から甲状腺機能の適切なコントロールができることが重要ですが、妊娠後にバセドウ病と診断されるケースもあり、この場合は早期治療につなげることが大事です。抗甲状腺薬を適切に使えば、奇形のリスクは健常妊婦さんと比べて差はありません。

また、妊娠中は母体の免疫抑制が働くことで、一時的にバセドウ病の病態は安定することが多いです。症状も、バセドウ病関連抗体(TRAb、TSAb)も低下します。しかし、TRAb(TSAb)が高いままでの出産の場合は、胎児に移行していた抗甲状腺薬の作用が切れて、産後4〜5日後に新生児に一過性の甲状腺機能亢進症を発症することがあります。これは生後3ヶ月頃に自然回復しますが、小児科との連携が必要になります。

妊娠における抗甲状腺薬の服用の注意

妊娠中の抗甲状腺薬の使い方には注意があります。非妊娠時にファーストラインで使用するメルカゾールは、胎児の頭皮欠損、臍腸管痩または尿膜管残存、臍帯ヘルニア、後鼻孔閉鎖、食道閉鎖といった、臍(へそ)や消化管に関連した奇形のリスクと高めると言われています。これらの合併症のほとんどは、生後の手術で改善するものですが、予防のためには妊娠5週目〜16週までメルカゾールを避け、プロパジールの内服とします。16週以降はメルカゾールを服用できます。

授乳と抗甲状腺薬の服用の注意

メルカゾールは、1日10mgまでの服用であれば、授乳中に完全母乳でも問題ないと言われています。それよりも服用量が多い場合は、次のような方法で母乳への移行を最大限減らす工夫をします。
  • 服用から授乳までの時間を4~6時間以上あける
  • ミルク(人工乳)との混合栄養を行う
  • 乳児の甲状腺機能をチェックする

HOME

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME